2021.08.18
アメリカで広がるジェンダーレス(Genderless)トレンド🌈
TAG: 海外
6月、アメリカでは「プライド月間(Pride Month)」という、LGBTQ+*の権利啓発のためのイベント期間を迎えます。この時期中には、あちこちに虹色のアイテムを飾るのが特徴で、最近日本でもよく見るようになりましたよね。プライド月間は、1969年ニューヨークのマンハッタンで起きた性的少数者の解放運動を記念することから始まり、今は個人の自由と人権の大切さについて認識するのがメインとなっております。
(*LGBTQ+:レズビアン(Lesbian)・ゲイ(Gay)・バイセクシュアル(Bisexual)・トランスジェンダー(Transgender/Transsexual)・クエスチョニング又はクィア(Questioning/Queer)などの性的少数者を意味する用語)
毎年、プライド月間が訪ねてくると共に、様々な分野の企業はプライド月間に合わせたマーケティングキャンペーンを披露します。特に最近は、Z世代を筆頭に、既存の性別区分にとらわれることを避ける「ジェンダーレス(Genderless)」の動きが拡散しているとのことです。本日は、アメリカ市場でのジェンダーレストレンドと、ファッション・コスメブランドがどう反応しているのかについてお伝えしたいと思います。
性別のボーダーラインが消えたショッピングトレンド
私たちが普段、ネットで服やアクセサリーを購入するときを想像してみましょう。恐らく「Women’s」、「Men’s」のようなカテゴリーを選択し、その基準で区切られているアイテムをご覧になられたりしませんか?今まであまりにも当たり前のようにしていたこの行動パターンを、アメリカのコア消費者であるZ世代は少し違和感を抱いているようです。その中では、ご自身が性的少数者であることもありますが、ジェンダーイメージにとらわれすぎない、中性的なファッションを求める消費者が増えたのも理由として取り上げられます。
最近のファッション業界では、ジェンダーレス(Genderless)、ジェンダーニュートラル(Gender-neutral)、ジェンダーインクルーシブ(Gender-inclusive)、ジェンダーフルイド(Gender-fluid)、ジェンダーフリー(Gender-free)等の表現で、消費者が性別を区分なしでファッションを楽しめるように素早くシフトしているとのことです。
ジェンダーレストレンド
以前から、ユニセックス(Unisex)という、男女共用のファッション分類が存在しておりました。ですが、最近のジェンダーレストレンドは既存のユニセックスから一方進み、どの体形にも着こなせるシャツやパンツ、ドレス、スカートを提案しています。米国のジェンダーフリーファッションブランドの The Phluid Project の創業者 Rob Smith氏は、CNBCとのインタビューでこういったそうです。彼は”私たちは、世の中の全てを性別で分けて考える傾向がある。だが、ドレスはドレスで、スカートはスカートで、リップスティックはただのリップスティックにすぎない。”と語り、ファッションアイテムを性別ごとのものでなく、固有のアイテムで見るのがジェンダーレストレンドの重要なポイントだと強調しました。
既存ファッションブランドの変化
ジェンダーレストレンドは、伝統的なファッションブランドにも影響を与えました。アメリカの代表的なカジュアルアパレルブランドの Abercrombie & Fitch は、6月のプライド月間に向けてLGTBQIA+コミュニティ機関の The Trevor Projectと協力、「The 2021 Pride Collection」を披露したことがあり、このコレクションには性別無関係で着用できるトップスとボトム、アンダーウェア、バンダナ、帽子、スリッパを含まれています。
10代の消費者に愛されるアパレルブランドの Pacsun では、ジェンダーレスのキッズライン「Pacsun Kids」を公開しました。Pacsunのウェブサイトでは、”性別の区分は、子供の心と関心、想像力を制限する可能性がある”とし、その趣旨を明らかにしました。
また、ハイブランドの Marc Jacobs は、2020年9月、ポリセクシュアル(Polysexual、複数のセクシュアリティを好きになるセクシュアリティ)コレクションの「Heaven」を公開。Tommy Hilfiger、J.Crewでも積極的にジェンダーレスラインアップを揃えています。
コスメ業界でのジェンダーレスは?
スキンケアビューティーブランドの Aesop と Ursa Majorは、ジェンダーマーケティングを全くしない、代表的ブランドです。このブランドたちは、特定の肌の悩み、コンディションにフォーカスする製品を販売しており、パッケージも中性的なスタイルを採用しております。
メイクアップ・コスメ分野でもジェンダーレスブランドの成長が目立ちます。Rihannaのブランドで有名な Fenty Beauty は、「みんなのためのビューティー(Beauty For All)」をスローガンとする、多彩なメイクアップビューティーアイテムを提供しています。また、小規模のビューティーブランドでも積極的にジェンダーレスマーケティングを行っており、Milk MakeupやFluideなどのブランドがあります。
今後のジェンダーレストレンドはどうなっていく?
アメリカのZ世代の消費者が追及するジェンダーレストレンドはしばらく続くと予測されております。自由と個人の個性を大事にするZ世代は、多様性とモラル、環境への意識が高く、フレームにとらわれたくない特徴があり、よって最も一般的に社会から与えられる「性別」のカテゴリーを拒否するニーズが継続するとのこどです。